病院での治療やリハビリが終わりに近づいてくると、病院側から退院に向けての話があると思います。
実際、入院から一年半近くが過ぎ、この頃の父は、補助が一人付けば、「リハビリ病院への転院」に記載した項目は大体できるようになってきました。
理学療法の部門では、車椅子の操作は本当に進歩しました。この病院には250㎡位のリハビリ室があるのですが、その中を障害物に当たらずにスイスイと漕いでいたのを思い出します。(15年経った今では信じられない事です)
また歩けはしませんでしたが、継続して歩行練習を行う事で、立位を維持する筋力も付き、この頃は姿勢も良かったです。
作業療法の部門でも、補助が付けば、食事や着替えができるようになりました。
嚥下のほうも障害は残っていましたが、むせる力が強くなってきて、ある程度は自力で吐き出せるようにもなってきました。
つまり病院側で出来る事はやりましたという事です。
今回からは、父の退院に向けて、我が家が具体的にどのような準備をしていったのかを紹介していきたいと思います。
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【現実的に在宅での介護が可能かどうか】
(↑在宅介護では、病院や施設で行ってくれていた仕事をすべて自分達で行っていく事になります)
退院が決まって、まず考えなければならないのは、現実的に自分たちで在宅での介護が可能かどうかという事だと思います。
入院中は、基本的には、あなた自身の仕事や日常を優先する事ができましたが、これからは、必然的に介護を中心とした生活に変わっていく事になると思います。
当然、仕事をされている方もいるでしょう。今後、在宅で介護を行う場合は、仕事は続けていけるでしょうか?
もしくは、あなたの代わりに、どなたか介護を行える方がいますでしょうか?
仕事をお持ちの方は、現在の仕事が在宅でも可能かどうかを職場に相談してみましょう。
簿記関係やWEB関係のお仕事であれば、クラウドソーシングといったフリーでの仕事もできます。
私の場合は、当時は建築塗装業や造園業をしていましたから、現場に行ってなんぼの仕事でした。当然、在宅での仕事は無理でしたね。
その代わり、趣味を活かした教室を始める事にしました。
【参考記事】
この段階で、仕事を辞める訳にはいかない。また介護を行える身内もいないという事であれば、在宅以外の方法を考えなければなりません。
具体的には、老健(老人保健施設)もしくは、特養(特別養護老人ホーム)への入居を考えるか、どうしても老健や特養の入居が難しいようであれば(老健も特養も数十件の順番待ちが当然です)、有料の老人ホームなども検討する事になります。
【どの段階まで、在宅での介護が可能か】
次にどの段階まで自宅での介護が可能かを具体的に考えてみましょう。
理由は、ある段階を越えてしまうと、家族の負担があまりにも大きくなり過ぎてしまい、本人がどんなに自宅での生活を望んだとしても、事実上在宅での介護は不可能になってしまうからです。
自分達に何ができて、何ができないのか、その線引きをどこに置くのかを現実的に把握しておかないと、老々介護のあげく…といった悲惨な結果にもなりかねませんから、一度家族でどの段階まで在宅で介護ができるのかを話されたほうが良いと思います。
また在宅介護の場合は、自宅の改修費用などもかかります。最初から施設入居を考えるのであれば、改装の費用を施設入居の費用へと回す事ができます。
では、具体的にどの段階まで、自宅での介護か可能なのかについて考えていきましょう。
【立位の維持がどれくらい可能か】
私が考えるに、在宅で介護が可能な段階として以下の段階があるように思います。(すべて脳梗塞の患者で片側が麻痺している場合を想定しています)
(A)歩行が可能で、補助無しでも立位を維持できる。
(B)歩行はできないが、車椅子の操作が可能で、補助が一人付けば一定時間立位を維持する事ができる。
(C)Bの状態から、立位の維持が難しくなる。ベッドから車椅子やポータブルトイレへの移動に複数人の補助が必要となる。
※ 立位の維持ができるかどうかと、立位の維持に補助が何人必要かが最も重要になってきます。
(A) 歩行が可能で、自分で立位の維持ができる。
(A)の状態というのは、具体的には自分で手すりや杖を使って歩行する事ができ、自分の意志で行動できる状態です。
(A)の状態であれば、ほぼ問題なく自宅での介護は可能だと思いますし、日常生活を行っていく事も可能だと思います。
ただし、自宅の必要箇所に手すりを取り付けたり(階段やトイレなど)、段差を無くすためのバリアフリーの工事などが必要になります。
また入浴に関しては、訪問介護サービスやデイサービスなどの利用をされたほうが良いと思います。
(B) 補助が一人付けば、一定時間立位を維持する事ができる。
(B)の状態というのは、歩行は無理ですが、一定時間立位の維持が可能な状態です。
(B)の状態も、家族が常時一人付いているのであれば、在宅での介護も可能だと思います。ただし、基本的に移動が車椅子になりますから、家への出入りや室内の移動は車椅子が通れるような改修工事が必要となります。
またベッドから車椅子やポータブルトイレへの乗り移りも常時補助が必要になりますから、家族の負担も増えてきます。
在宅での訪問介護サービスよりも、デイサービスやデイケアなどの通所介護をうまく利用して、家族(介護者)の負担を軽減していく必要があります。
(C) 立位の維持が難しくなり、複数人の補助が必要となる。
(C)の状態、立位の維持が難しくになってくると、これは(B)の状態よりも家族(介護者)の負担が急激に上がってきます。
ベッドから車椅子やポータブルトイレへの乗り移りも複数人(二人以上)の補助が必要になってきますし、無理をしますと転倒事故の可能性もあります。
実際、私の外出中に母が一人で介助した結果、転倒していた事が幾度かありました。
また介助者のほうが腰痛になったり、外出時間が限られたりといった精神的な負担もかなり上がってきますので、自宅での介護よりも、老健や特養など施設への入居を最初から考えたほうが良いように思います。
父の場合は、退院時が(B)の状態、そして15年経った現在では(C)の状態です。
在宅での介護がかなり困難になってきており、現在、施設への入居を考え始めているところです。
施設に入りたいといっても、入居は20件待ち以上というのが当然ですから、(C)の状態ならば、早めに施設入居の申請をしたほうが良いと思います。
次回からは、在宅介護に向けて行う三つの事務手続きについて紹介していきましょう。
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